判例って、最初の方は読むのも大変ですよね。難しい表現を使うし。
だから、内容がよくわからない場合もあるし、
読むのすら億劫になってくるでしょう。

まあ、これは慣れなんでね、時期に大丈夫になると思います。

ところで、判例ですが、憲法ではたくさん出てきます。
特に人権保障のところですが、この判例を読むときのポイントを
お話しましょう。特に「公共の福祉」のところでは結構有効な
ポイントだと思います。

法律とは人権を侵害する規範でもある

憲法の場合、法律というものを、
人権を保障するもの
と同時に、人権を侵害するもの
という視点を持って勉強してくと良いと考えるのです。

なぜかは、これからご説明していきます。

「公共の福祉」は人権衝突の際の調整弁である

「公共の福祉」、その意味は、公共でも福祉でもなんでもなく、
要は法律(条例等も含む)なんですね。

「公共の福祉」、すなわち、法律とは、
人権が衝突するときの調整弁ですから、
その調整をどこに設置するかで、
法律は違憲にも合憲にもなるわけです。

法律を右側に寄せていけば合憲が出やすい左側にずらせば違憲
が出やすい、その逆も然り、というふうにです。

法律の本質論

法律の本質論になりますが、法律というものを憲法的視点で
見てみると、法律とは人権を保障するのと同時に、
人権を侵害するものでもあるわけです。

お分かりでしょうか、この意味。

「公共の福祉」とは、
「人権相互の矛盾・衝突を調整するための実質的公平の原理」とする
のが通説ですが、つまり、法律による妥協です。

衝突相互は、お互い我慢も強いられるが、人権を守ってくれるもの
にもなるということです。それが妥協ですからね。

「公共の福祉」の憲法裁判は、
この法律は妥協のバランスを
失していないか、片方に寄り
過ぎていないかと審査するもの

といえます。

「薬事法距離制限事件」を例に

例えば、です。
「公共の福祉」の問題で有名かつ重要な判例に、

「薬事法距離制限事件 (昭和50年4月30日最高裁判決)」

というものがあります。

薬局って開設に際して許可制が採られていて、
開設距離制限があるわけです。

すでに営業している薬局から一定の距離がないと、
新しい薬局開設の許可は下りない。

それを規定していた
(旧)薬事法6条2項が、憲法第22条1項の
職業選択の自由に抵触するんじゃないか?

として争われた裁判です。

この規定は、もちろん、適当に、いい加減に作られた法律で
はありません。薬局開設に距離制限を設けることによって、

国民の生命及び健康を害する危険を
防ぐという目的が達成される

と考えられて制定されたのです。。

でも、この法律、
薬局を開設したい人にとっては、
営業の自由(職業選択の自由)という人権を侵害するものです。

わかりますよね?
ここに良い貸店舗がある。ここに良い土地があるってなっても、
薬事法に抵触すれば、薬局営業の許可は行政から下りません。

他方、一般市民からすれば、この薬事法の規定は人権保障の規定
です。国民の生命及び健康を害する危険を防ぐという目的で制定
されたものなのですから。

法律によるその規制は合理的なものか

法律w憲法的視点で見るということ

問題にしているのは、その侵害具合と言いますか、
その規制(薬事法6条2項)は合理的なものなのか?
そして、
許される範囲のものなのか?

ということです。

いかがでしょう?
行政書士試験って、法律を扱う試験ですが、法律をこう
いう視点で見ることが憲法には必要なのかなと思います。

ちなみに、この裁判は違憲と判断されました。
不当に22条1項を侵害しているとされたのですね。
数少ない法令違憲が出た裁判の一つです。

この判例は非常に重要ですので、皆さん個々に確認しておいてくださいね。

判例を読み込む際のもう一つのポイント

もう一つ、判例は、どんな事案でどんなことが争点になって、
どんな規範が立てられて、で、結果どうなったか、まで
しっかり把握しておく必要があります。

「○○で~××なので、△△は許される」なんて感じでさ
りげなく判旨をついて書かれた肢を入れてきますから。
もちろん、裁判名も出さずにです。

私人間効力」のところの最後の方でも言ってますが、
規範立ててあてはめの結論部部分まで知っていないと、
肢選択に迷う場合が多々あります。

迷うぐらいだったら、予めしっかり判例は読み込んでおくべ
きだと考えます。ちょっと時間がもったいないんですよね。