では始めます。

公務員の政治的活動についてです。
政治的活動は表現の自由として21条によって保障されています。公務員とて日本国民ですので、保障されているわけですが、そこは公務員という職業の特殊性として法律によって制限が加えられています。

国家公務員法102条1項です。

 職員は、政党又は政治的目的のために、寄附金その他の利益を求め、若しくは受領し、又は何らの方法を以てするを問わず、これらの行為に関与し、あるいは選挙権の行使を除く外、人事院規則で定める政治的行為をしてはならない。

そして、この人事院規則14-7に色々列挙されていますが、ここでは割愛します。

「猿払事件 昭和49年11月6日判決」という裁判では、この公務員の政治的活動の禁止、それを規定する国家公務員法102条1項及び人事院規則14-7の合憲性について審理されました。

被告人である公務員(郵便職員)がやった行為が、上記法に抵触した事件ですが、例によってそのへんはご存知であるというか、ある程度の学習済みであるということを前提に進めさせていただきます。「復習+α」ということで進めさせて頂きます。

この裁判、憲法の中でもベスト10に入るような重要な判例です。
是非、事案の段階から上告審までしっかり読み込んで頂きたいと思います。

公務員の政治的活動の制限の根拠

まずは、公務員の政治的活動の制限の根拠ですが、このように判旨されています。

 行政の中立的運営が確保され、これに対する国民の信頼が維持されることは、憲法の要請にかなうものであり、公務員の政治的中立性が維持されることは、国民全体の重要な利益に他ならない・・・公務員の政治的中立性を損うおそれのある政治的行為を禁止することは、それが合理的で必要やむを得ない限度にとどまるものである限り、憲法の許容するところである。

国民にとっては、公務員の政治的中立性が中立的運営が確保されるものであり、それは利益につながる、としています。

日本はアメリカのように大統領が変われば、ズラッとスタッフが変わってしまうシステムではないので(まあ何もかもが違うので当たり前ですけどね)、こういった公務員の中立性は大事でしょう。

もちろん、公務員とて表現の自由は確保されています。ので、何もかも禁止というわけではなく、「合理的で必要やむを得ない限度にとどまるものである限り、憲法の許容する」としています。

違憲審査基準

このあと、公務員の政治的活動の規制が許されるか否かの審査基準を打ち立てています。

すなわち、

  • 禁止の目的が正当であり
  • この目的と禁止される政治的行為との合理的関連性があり
  • 政治的行為を禁止することによって得られる利益と禁止することによって失われる利益の均衡がある

この3点の検討し、満たしていれば合憲とするとしています。

緩めの審査基準

ちょいと本線から外れますが・・・
この審査基準、比較的緩めの基準です。実際、学者からはそういった批判(「LRAの基準」を用いるべき)があります。
なぜ緩めなのかというと、国家公務員法102条というのは、政治的活動、すなわち、表現の自由を規制する法律です。「公共の福祉」の
「二重の基準」論でいうところの必要最小限度の規制に留めるべきという価値判断があるからです。

違憲審査基準が緩めであれば、その規制は合憲になりやすい、逆に厳格な審査基準であれば違憲になりやすいという意識は持っておいてください。

詳しくはそちらのページで解説します。

なぜ裁判官がこの審査基準を採用したかは・・・正直、わかりません。内部事情の知らない私にわかるわけありません。

ただ、この頃の同種の最高裁判決の傾向などを鑑みると、個人的観測ですが、きっと公務員の政治的行為を喜ばしく思っていなかったからなんじゃないかと。あくまで個人的意見ですけど。

当てはめの部分は個々人でご確認ください

で、以下はこの審査基準に諸事情を当てはめ、結果、国家公務員法102条1項及び人事院規則14-7は合憲となりました。当てはめの部分は、3つの規範とご自身で当てはめてみて確認しておいてください。

裁判官がどういった認定をしているのかは大事ですからね。

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