うまい話には裏がある

シマちゃん

民法の問題は「意義・要件・効果」の問題と言って差し支えないけど、具体的に「意義・要件・効果」を見てみることにしよう。

最初に「意思表示」の4類型を確認しておこう

民法の93条~98条の「意思表示」という箇所があります。このうちの93条から96条までは意思表示の4類型が規定されています。「意思の缺欠」「瑕疵ある意思表示」なんて言ったりもしますが、この部分は、行政書士試験のみならず、民法では非常に重要なところです。過去問でもよく出題されています。

一応、下に意思表示の規定の構成を表にして載せておきました。確認しておくと良いと思います。

  • 意思主義・・・表意者保護の傾向
  • 表示主義・・・取引安全の保護の傾向

原則 例外
心裡留保(92) 表示主義(本文) 意思主義(但書)
通謀虚偽表示(93) 意思主義(Ⅰ) 表示主義(Ⅱ)
錯誤(95) 意思主義(本文) 表示主義(但書)
詐欺/強迫(96) 意思主義意/意思主義(Ⅰ) 表示主義/なし(Ⅲ)

この中に詐欺(96条)というところがありますが、この詐欺は、94条(通謀虚偽表示)と並んで頻出であり、重要かつ難易度の高い論点もあります。今回は、この民法96条を取り上げてみますね。

民法第96条「詐欺」を取り上げてみる

(詐欺又は強迫)
第九十六条
詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる。
2 相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合においては、相手方がその事実を知っていたときに限り、その意思表示を取り消すことができる。
3 前二項の規定による詐欺による意思表示の取消しは、善意の第三者に対抗することができない。

詐欺師には気を付けてください

96条1項2項の「意義・要件・効果」

この条文は、詐欺と強迫についての条文ですが、ここでは詐欺についてのみ解説します。ちなみに、詐欺と強迫は同じ条文になっていますが、微妙に違う部分があります。上の表でご確認ください。

詳しくはここでは割愛しますが、詐欺は「取引安全の保護」強迫は「表意者保護」になってきますので注意が必要です。平成26年度本試験では、このへんの対比の問題が出題されていましたね。
1項

1項は詐欺の基本系です。

まず、詐欺の意義ですが、「欺もう行為によって人を錯誤に陥れ、それによって意思表示させるです。まあ、詐欺のイメージはすでに皆さんお持ちでしょうが、それによって意思表示をさせるまでが96条の詐欺です。ただ騙すだけでは要件を満たしません。というわけで、1項については要件でもあります。

例えば、

ちょっと陶器作りに覚えのあるものがちょちょいと作った陶器を、「これは室町時代の高貴な職人が将軍に献上したものだ」と言葉巧みに騙して、100万円で売りつけた。

などですね。

詐欺と意思表示の因果関係

詐欺と意思表示の間に因果関係は必要かですが、これはもちろん「Yes」。

Aのことで騙したのにBの意思表示をしても、それは詐欺ではありません。壺を買わせようと詐欺したのに、全く関係ないネックレスを買ってもそれは96条の詐欺には当たりません。もちろん、この壺とネックレス間に因果関係があれば別ですけどね。

これを図にしたのが下。

96条1項 意義・要件

効果は後回しにします。

2項

続いて2項。

これは1項の基本形から発展します。第三者の詐欺によっての場合です。例えるなら、上の室町時代の壺と騙して買わせたのは、その壺とは関係のない近所のおじさん、だったとか。

こんな図式です。

96条2項の場面

「意義・要件」はこんな感じです。

シマちゃん

1項2項、それぞれどんな場面かちゃんとイメージできるようにしておくと良いよね。最初はこんな感じ出図にしてみると良いかもね。

では、「効果」に行きますね。

1項2項の効果

効果は1項2項まとめていきますね。
詐欺による意思表示を取り消すことができます。「取り消し得る」なんて言い回しをよく使いますね。上の壺の話でいけば、「壺買います」という意思表示は取り消すことが可能になるということです。

図にするとこう。

96条1項の効果

これが基本です。

次は2項の効果です。
同じく取り消し得るのですが、条件があります。取り消しうるのは、意思表示の相手方が、この事実を知っている場合に限ります。別に取引相手が詐欺を働いたわけではありません。

96上2項の場面

民法の「取引安全の保護」とは

民法は、「取引安全」という価値観が働きます。これは、取引が安全に履行されることを重視する価値判断なのですね。それともうひとつ、騙された本人には落ち度は無いの?あるんじゃないの?という価値判断も働くんですね。ここでは、落ち度の無い相手方を保護する方向(取引安全)ですが、詐欺の事実を知っていれば話は別です。

騙されたことを知っていたのなら、取引相手を保護する必要はないでしょうということですね。第三者とグルみたいなものですから。

このように、民法では取引安全の保護を重視する方向が基本なのですが、それを良しとしない要件があれば覆すことが良くあるのです。こうなれば、騙された本人(表意者)を保護する必要はあるでしょうという価値判断です。

96条2項の効果

1項2項は、特に論点もなく、まんま条文通りです。瞬時に常識にしてください。

受験生エイコ受験生エイコ

なんだかややこしいわね。
条文通りに覚えておけばいい話なのかしら。

シマちゃん

96条1項2項についてはそれでも結構だよ。ただ、このような考え方は民法全体に漂っていると思ってほしいんだ。だから、この際に頭に入れておいてほしいと思う。

3項になるとあれこれ重要論点が出てきます。例外として、取消しができない場面があるのです。

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