多肢選択式は3問。例年憲法1問に行政法2問です。
文章があって穴埋めなので、全体の流れと空欄の前後の文章から推察でき、かつ答えが用意されているということから、是非点数を稼いでほしいです。実際、多肢選択式は稼げると思います。
言ってしまえば、記憶が曖昧でもヒントがちりばめられているので、正解に繋げやすい面があります。取りこぼしは極力しないつもりで用意してほしいと思います。全12穴、9~10穴は正解を勝ち取りたいです。
過去問を使って多肢選択式解答の思考を解説
それでは、実際の行政書士試験過去問で、どういう思考で解答していけばいいか、解説してみたいと思います。問題は、平成25年度の第41問目。憲法の多肢選択式問題です。
まずは、全体を読み通してみて、何についての最高裁判決かを読み解きます。
この判例、比較的最近のもののようで私は知りませんでした。調べると、「立川反戦ビラ配布事件」とありますね。まあ、知らなくても解ける問題です。
空欄ア
空欄アについては、憲法の勉強が一定の量捗っていれば、瞬時にわかると思います。
1行目でアは「民主主義社会において特にに重要な権利~」とありますので、アには人権が入ることがわかります。ここで頭の中に1つ人権が浮かんできてほしいですが、2行目で「ビラの配布」、3行目で「憲法21条1項~」とあるので、「表現の自由」で決まりです。
選択肢には「○○の自由」がたくさんありますが、この場合は迷わず「表現の自由」ですね。ビラ配布が人権として認められるとしたら、どんな自由かを考えればわかると思います。また、表現の自由の判例をいくつか読んでいれば、そういう結論に達するでしょう。答えは「10」。
空欄イ、ウ
アは簡単でしたが、ここから先はちょっと難しい部類かもしれません。
4行目途中から6行目途中まで、公共の福祉の原理について語っています。すなわち、表現の自由も絶対的に保障されるものではなく、他の人権との衝突があれば一定の制約がなされることになる、と。⇒ 公共の福祉の意味 | 日本国憲法の基礎知識
ビラ配布は表現の自由として尊重されるべきものとしているのですから、それ自体は認められるものです。ここは、ビラ配布自体は問題ではなく、どんな形でビラ配布をしたかを問われているということになります。
つまり、目的を問われているのではなく、手段を問われているのですね。
とすれば、イ、ウに入る語句は決まってきます。イは20の「表現そのもの」、ウは17の「表現の手段」になります。空欄ウの直後からどんなビラ配布をしたのか、表現の手段についてつらつら書かれていますのでここからも推測されますよね。
この表現の手段か目的かの話は、違憲審査基準で出てきます。
「LRAの基準」とかがそれに当たるのですが、「猿払事件」の判例は「LRAの基準」によるものではありませんが、プラスアルファの知識として「LRAの基準」もチェックしておくと、場合によっては憲法の点に結び付くかもしれません。
空欄エ
さて、最後のエですが、候補は3つですね。
この被告人は、自衛隊関係の施設に入っちゃったみたいです。となると、候補として挙げられるのは、7の「管理」、16の「居住」、19の「所有」。この3つの語句を意識して読み進めます。
個人的には、このエが最も難しかったですが、ヒントになり得るのは、2つ目のエの空欄でした。「自衛隊・防衛庁当局が~」、これで「居住」は消えます。「当局が居住」ではおかしいですよね。
こうなると、「管理」か「所有」ですが、それぞれ当てはめてみると、「管理」の方がしっくりします。特に2つ目の空欄エは「管理」でないとおかしい表現になってしまいます。
ということで、空欄エは、7の「管理」。
予測して絞り込む
いかがでしょうか?
私、この問題は初見で見て解いたのですが、合っていてほっとした次第です。
ア、イ、ウはすぐにわかりましたが、エで戸惑ってしまいました。問題解答の思考は書いている通りです。問題文からいろいろなヒントを得て考えているのがお分かりだと思います。
前述していますが、私はこの判例は知りませんでしたが、表現の自由と公共の福祉の知識、あとは、問題文からヒントを抽出して語句と照らし合わせて予測と絞込みをしています。
問題文からヒントを抽出するには、もしかしたら、ある程度の国語力も必要かもしれません。
国語力に自信がない方は、それ用の訓練も必要かもしれません。国語力は一般知識でも必要ですからね。
そういうところを意識してアウトプットを数多くこなしてください。
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